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vol.3

「時々力を抜きながら、できるだけ長く続けていくために」

スキージャンプ選手
コラントッテ レスノ アンバサダー

8度の冬季オリンピック出場をはたし、50歳を超えた今でも現役を続けるスキージャンプ選手の葛西紀明さん。急遽出場が決まった2023年1月のW杯予選ではギリギリのところで本戦出場を逃してしまいましたが、本人のモチベーションが落ちる気配は微塵も感じさせません。ご自身のブログでも、約3週間のスロベニア合宿の充実っぷりを報告していました。そんな葛西さんがレスノのリカバリーウェアと出会ったのは約3年前のこと。今回は、現役続行のために日々どんなルーティンをこなし、リカバリーを実践しているのか、本人に伺いました。

睡眠は短いからこそ、質が大切。

日々のルーティンで特に大切にしているのが、走ることです。その目的は、持久力をつけるため、体重の減量のため、そしてメンタルを整えるため。子供の頃から「自分が成功するためには何をすればいいのか」ということを考えながら走っていました。そうすることで、試合にもリラックスして挑むことができるんです。緊張するのは、スタートゲートに座って飛び出すまでの間だけですね。

リカバリーにはもちろん睡眠も重要です。ですが、僕は元来のショートスリーパーで、最近の平均的な睡眠時間は4〜5時間。深夜0時か1時に寝て、朝5時過ぎにはパッと目が覚めてしまう。僕は昼寝もほとんどしないので、だからこそ、夜の睡眠を絶対に遮られたくないんです。また、睡眠前に体をいたわることも心掛けています。レスノのリカバリーウェアと出会ったのは3年ほど前ですが、普通の半袖短パンで過ごしていた頃と比べて違いがハッキリ分かりました。部屋は遮光カーテンで真っ暗にして、他の人だったら寒いと感じるくらいに冷やす。夏はレスノの半袖、冬は長袖があれば言うことナシです。

今も現役を続けられている秘訣。

35歳を過ぎてから徐々に体の疲れを感じるようになり、腰が痛くなったり肩が凝ったりすることが増えたので、リカバリーに重点を置き始めました。逆にいうと、それまでは全くの疲れ知らず。周りがどんどん引退していく中で「おれ、すげえな」って思っていました(笑)。マスコミは「35歳くらいで引退するもんだ」って決めつけているんですが、自分にはやめる理由が見つからなかった。いや、もっと続けられるでしょう、と。あと、自分と世代が近い原田雅彦さんは37歳、岡部孝信さんは43歳までやっていたし、違う分野では三浦知良さんがまだ現役を続けています。彼が新しい道を作ってくれていますよね。

また、自分が若いころは血反吐をはく思いでトレーニングをしていたんですが、それに比べると今の若手は練習量が少ないので、彼らがそれくらいの体力だったら自分もまだ負けないんじゃないか、という気持ちも正直あります。当時は、まわりから「そんなに練習してもジャンプは良くならないよ」と言われていて、実際に一番練習していた時期に挑んだソルトレイクでは結果が出なかった。たしかに、その時は意味がなかったのかもしれない。だけど、この年齢になっても現役を続けていられるのは、間違いなく、あの時にキツい練習を積んだおかげだと思います。今につながる素地を作ってくれました。

必ずしもストイックであり続ける必要はない。

ソルトレイクで挫折を味わったあと新しく国外からコーチをつけて、練習量が5分の1になったんですよ。「え、これでいいの」と不安になったんですが、世界選手権でメダルを3つも獲ることができました。あと、風邪をひいた時にジャンプに力が入らないにも関わらず、優勝しちゃったことも。僕の場合は普段が元気すぎるので(笑)、力が抜けているくらいがベストなのかもしれません。緩めている中で一瞬だけ力を入れる、その感覚が大事なんですよね。

今は、自然に身を任せることを意識しています。常に何にでも対応できるような体制を整えておきたいので、技術やトレーニングの方法については国外のコーチを雇って最新の情報を取り入れながら、自分の体の声に耳を傾ける。また、20代は「お酒やタバコはぜったいやらない」と決めていたんですが、それだとやっぱり自分に余裕がなくて固いんです。ずっとストイックだと体と頭も疲れるし、どこかで「抜く」=リカバリーすることを考えた方が長く競技を続けられるんじゃないかなと。

就寝前のワインが一番のリラックス方法。

今は、リラックスするために毎日大好きなワインを飲んでいます。手っ取り早く酔えるし、カロリーも低い、最高じゃないですか(笑)。2杯くらい飲んだらすぐ眠くなって、次の瞬間には熟睡。そこからはレスノのウェアと枕に身を任せて、自動的にくつろぎタイムへ。力を抜くという意味では、断食も役に立っています。試合の1週間くらい前に、何も食べない3日間を作る。午前と午後に運動をしながらの断食は相当きついんですが、神経も体も研ぎ澄まされます。

レスノの製品と共に、2030年へ。

新しくなったリカバリーウェアを着てみて、前モデルで少しだけ気になっていた肩周りのツッパリ感が解消されていて、その進化には驚きました。そして、レスノといえば内側の生地の凹凸が最高に心地良いんですよね。愛用している枕(MAG-RA)も、僕は後頭部のところが人より出ているので、首と頭の間にスポッと入るような形がお気に入り。この枕は自分の好みにあわせてビーズの量が調整できて、さらにビーズ自体が中でよく移動してくれるので、ぴったりハマります。

今の体の状態をキープできたら、2030年のオリンピックにはまだ夢が持てそう。がんばりたいですね。もし2034年になってしまったらその時に自分は60を超えてしまうので……うーん、さすがに厳しいかな(笑)。